可能な限りベストにLANDRでマスタリングするため、どうあなたがトラックを準備するかについてアドバイス致します。
原文:Rory Seydel / MixGeniusコミュニティー&コンテンツ・マネージャー
翻訳:出山剛 / MixGeniusカントリーマネージャー
編集:HIGASHIYUKI® / HOUSESTUDIO-R
音楽を作ることは簡単です。しかし、サウンド・エンジニアは逆にとてもテクニカルになり、非常に時間のかかる工程で、すべてのアーティストが優れているとは限りません。
この記事の意図はLANDRでマスタリングするために、どう自分の曲を準備すれば一番いい結果をえられるかを手助けするために書かれました。この記事を読んで、メモをして、そしてまた音楽制作に戻ってみてください。確実に役立つと信じています。
ダイナミックさとマスタリングについて
十分にダイナミックでどのトランジェントもうまく処理し再現されているミキシングなら、良い音質でパンチがきいて、ノリが良く疲れることのない、心をとらえるエキサイティングな響きが得られます。
ダイナミックさのためにミックスに余裕を残すことは簡単です。ここで重要なのは、トランジェントとヘッドルームを理解することです。
トランジェントって何ですか?
トランジェントとは音のアタック(立ち上がり)の部分を指します。スネアドラムをトントンと響かせキックドラムにはずっしりとしたドーンという響きを与えるのも、これがトランジェントです。音にパンチやビート感をもたらす活力の源であり、あなたのミュージックを、水を吸った段ボールみたいにぐちゃぐちゃにするのではなく、聴衆の心に訴えかけるものにしたいなら、トランジェント無くてはならないものです。
↑トランジェントの例です。アタック(立ち上がり)の部分とディケイ(減衰)です。
そして以下が同じヒットですが、コンプをかけています。
↑ダイナミックさがないトラックの良い例です。
ヘッドルームとは何か、そしてそれがどうマスタリングの手助けになるんですか?
ミックス内でのヘッドルームは簡単に言うとマスタリングの工程に残された物理的なスペース(余裕)のことを言います。
下の波形はヘッドルームのほとんどない曲の例です。これを見てわかるように、このような曲はマスタリングをするための余裕が全く残されていません。
↑ヘッドルームのないトラックの例です。
下の波形は全く同じ曲でもヘッドルームがたくさん残された波形です。ここで気がついてほしいのは、マスタリングのためにたくさんの余裕が残されているということです。
↑たくさんヘッドルームのあるトラックの例です。
どうやればLANDRでマスタリングするのに十分なヘッドルームが確保できますか?
ここでのコツは、録音とミキシングを耳に聞こえるレベルに留めることです。成功例に従うと、マスターフェーダー上で各トラックのピークレベルが-6dBくらいになるようにするのが良いです。それ以上になるとクリッピングを起こすことがあり、デジタル編集の後には耐えられないほどひどい響きとなりかねないから、気をつけてください。
マスターフェーダーのレベルが-6dBあたりでピークに達しているのをご覧下さい。
ルール – クリッピングさせてはいけない
最も起こりがちな問題は、過激なほどホットな響きを作ろうとして返ってマスターバス上でリミッターが利いてクリッピングを起こし続けることだ。曲の始まりからずっとリミッターの過負荷ランプが点灯したままの状態となり、せっかくのトランジェント・ピークがどれもダイナミック調整に引っかかってそぎ落とされてしまうという死の谷に入り込んで、響きが台無しになる。
LANDRのマスターを使っていてよく見かける問題は、ミキシング中にリミッターがかかってうまくいかなかったからと言って、必要とされる6dBの余裕分をマスター・フェーダーを使って作り出すようなことです。人の耳を欺くやり方であり、絶対にしてはいけません。
念を押すようですが、マスター・フェーダーはリミッターが働いた後でゲインを下げるためのものであり、これを先にやってはいけません。第一、音質はすでに劣化していますから。
では、解決法は?
ミキシング中にコンプレッションやリミッティングなどを施す際に音が大きくなること自体は心配しなくて大丈夫です。とにかく音の響きをできる限りよくすることだけに集中すべきであり、「ラウドネ(音の大きさ調整)」はマスタリングの段階、つまり最終段階でやればいいんです。
一回やいたお餅をもう一回焼こうとはしないのと同じように、マスタリングをして、さらにマスタリングをしてもらうのに曲も送ることは意味がなさないことです。
↑ヘッドルームのたくさんあるミックスの例です。
LANDRにアップするのに一番良いファイル形式はなんですか?
いつも最高のバージョンをマスタリングすることを前提にファイルをアップすることを心がけてください。あなたの曲を自分のプロジェクトファイルと同じサンプルレートと同じビット深度のWAVやAIFFでエクスポートすることをお勧めします。
作品の送付時のためにmp3などの圧縮度の高いフォーマットが必要となる場合でも、最終のマスター・トラックを完成させてから変換することを心がけてください。決して先にmp3(m4a、oggやwmaなど)に落としてからマスタリングの工程へ送ってはいけません。絶対いけません。
16ビットはたくさんのトラックを加えていくとちょっとノイズだらけになってしまいます。だから、常に24ビットを扱うことを心がけてください。24ビットを使わない理由なんてどこにもないとおもいますし、どんな装置やソフトを使おうと24ビットの良さは圧倒的なので、是非。
ディザリングはマスタリングの工程に残してください。
サンプルレートとマスタリング
サンプルレートについてはまだ分かっていないこともあると思います。何が良くて何がいけなくて、許容範囲は何か、いまだに議論が続いて結論は出ていない現実もあります。ただ、過去の優れた録音の多くは44.1kHzで記録されてきました。より大きなサンプルレートを使うのは全然かまわないのですが、あなたのコンピューターが余分な作業負荷に耐えられるかどうかを確認することは忘れないでください。
もし作品の最終的な出力があらかじめ分かっているなら、それに見合った適切なサンプルレートで作業を始めるのが良いでしょう。工程の最後になって不必要な変換のステップを加えないことが、音楽作成工程の効率化にも繋がっていきます。
この記事があなたのお役に立てたと願っています。そして、がんばって音楽を作り続けてください。
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